【寄稿】トリロジー完全再現ライブジャパンツアーに寄せて(クラシックギタリスト・鹿児島国際大学音楽科講師・濱田貴志)

特別寄稿~MARK BOALS feat. Kelly SIMONZ トリロジー完全再現ライブジャパンツアーに寄せて

 

【「ネオクラシカル」が迎えた「再現芸術」という新局面】

 

「クラシック」とは過去の楽曲を現代に甦らせる「再現芸術」の世界である。

 

王者イングヴェイ=マルムスティーンにより、勢いを増した潮流、いわゆる「ネオクラシカル」も、「再現芸術」として捉えられる新たな芸術的局面に入った。

 

そのことが、いよいよ迫った、「トリロジー完全再現ジャパンツアー」で、白日の元にさらされることになるだろう。

 

しかも、その再現プロジェクトのメンバーには、名盤「トリロジー」のヴォーカルをとったイングヴェイのバンドで歴代最高の呼び声の高い「マーク・ボールズ」がいるというのだから、今回のジャパンツアーの芸術的価値は限りなく高く、希少価値すらある。

 

もしかしたら往年のファンの中には「イングヴェイも来たらよかったのに・・・」という声もあるかもしれない。

 

しかし、それは、御大や王者が敬愛するクラシックの世界において、あくまで「自作自演」の段階の域を出ないのである。

 

「自作自演」では、その楽曲が歴史という荒波にどう立ち向かえるのか、未知数なのだ。

 

かのJ.S.バッハが、現在のような評価を受けるには、没後約100年もかかったという事実をご存知だろうか?

 

メンデルスゾーンによる、素晴らしい「再現」がなされるまで、かなりの時間を要したのである。

 

それは、バッハが「自作自演」の高度なスペシャリストであったことにより、「再現芸術」という次の段階に進みにくかったことも要因のひとつであろう。

 

イングヴェイも、私達が知るように、「自作自演」の高度なスペシャリストである。

 

しかし、今回の再現ツアーにより、イングヴェイが「再現芸術」という次の芸術的局面を迎えることが確実となった。

 

「ライブ」それは「生きている」ということ。

 

王者の楽曲が生き生きと「再現」される歴史的瞬間が、マーク・ボールズはもちろん、名手ケリー サイモン達によって、いかに迎えられるのか、私達オーディエンスが、まさに、その生き証人となる、そんな瞬間が、もうすぐそこまで来ているのである。

 

鹿児島国際大学国際文化学部音楽学科クラシックギター講師/濱田貴志

 

濱田貴志プロフィール
2004年第50回九州ギター音楽コンクール第3位(この年の九州勢最高位)、
2014年度第40回鹿児島市春の新人賞を受賞。
鹿児島国際大学国際文化学部音楽学科クラシックギター講師。

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